闇夜の数だけエゴはある
武羅人が今日も屋敷から出掛けそうにない事を確認して、私は書庫へと足を運ぶ。

これだけの大きな邸宅だ。

書庫の一つや二つあっても不思議ではないだろう。

私は調べ物をする時だけかける眼鏡を指で押し上げ、埃臭い書物を片っ端から読み続ける。

その記述を見つけるのには骨が折れた。

何せその存在そのものが希少なものだから。

「あったわ…『堕蓮の心臓』」

私は記述を食い入るように見つめた。

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