闇夜の数だけエゴはある
組み敷いた両手に力を込める。

「このまま肌をさらし、全身隅々まで観賞し、何度も何度も陵辱し、蹂躙し、肉体だけでなく精神までも白濁した欲望で汚す。その上で殺す。その美しい顔を、肢体を、何十回何百回と『旋』で打ち、殴り、砕き、潰し、原形を留めないほどに破壊する」

言葉にするだけで絶頂してしまいそうだ。

「誰も触れた事のない、無敗にして純潔の杖縁梓を、僕の『エゴ』が真っ黒に塗り潰す」

猛り狂う欲望が、僕の内で走り出す。

もう抑えている事は出来ない。

手の中に杖縁梓はいる。

最早僕が僕の欲望を鎖に繋いでおく理由はどこにもなかった。



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