闇夜の数だけエゴはある
もう抑えられない。

抑圧されて鬱屈した僕の中の肥大した『エゴ』。

それを遂に目の前の女目掛けて解き放てる。

哀れなこの女は、僕の歪んだ欲望の犠牲となり、人の形を留めぬ姿でこの世に別れを告げる事になる。

恐らくは世界で最も凄惨と呼べる結末を迎える事になる。

だというのに。

「はは…ははははは…」

笑っていた。

気が触れたのではない。

絶望したのではない。

明らかに僕の言動に対して。

「ははははははっ!」

梓は組み敷かれたまま笑っていた。

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