闇夜の数だけエゴはある
怪訝な表情を浮かべずにはいられなかった。

「…何が可笑しい…?」

「はははは!はははははは!」

「何が可笑しい?」

「はははははははっ!」

「何が可笑しいかと訊いている!」

癇に障るその笑みを消したくて。

もっと脅えて世の中全てを呪うような憎悪の眼差しを見たくて。

僕は梓の頬を音高く張った。

しかし。

「笑わずにはいられないわ」

頬を真っ赤にしながらも、嘲りの笑みを浮かべて梓は見る。

僕を。

愚弄した瞳で。

癇に障る。

その瞳は僕を最高にイライラさせた。

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