天国へのエレベーター
「すいません」
お父さんはボサボサ頭を下げてそういった。
眠たい目を擦りながら、頭を下げた相手の方を見上げるとそこにはお母さんの姿。
「おかあさん…どうしたの?」
萌がお父さんの手から離れて、お母さんの下へ歩んで行くと、悲しそうな表情が目に入った。
みんなが全身を見たことない真っ黒な服で包んでいて、ちょっと怖い。
おばあちゃんも、お母さんも……。
みーんな悲しい顔をしてる。
「萌ちゃんは、二階に行ってね」
そう言って、お母さんが頭をなでなでしてくれた。
通いなれたおばあちゃんの家は、山の方にある一戸建て。
二階には、お母さんの弟の「にいちゃん」がいる事が分かってたから、スキップしながらにいちゃんの所へ行った。