天国へのエレベーター
「萌ちゃん」
1階から萌の名前を呼ぶ声がしてきて、手紙を書く手を止めた。
最後まで書いてしまった手紙を満足げに見下ろすと、それをもって階段を一段ずつ降りた。
階段の終わりには、お母さんが立っていた。
「早く来て……、手紙をおじいちゃんにあげて」
なんでか分からないけど、あげるのが嫌で涙がホロリと目から零れ落ちた。
お母さんに手をひかれた先には、大きな……木でできた箱があって。
何かと思って中を覗いて見ると、そこには大好きなおじいちゃんがいた。
真っ白なふさふさの髪の毛。
鼻には白い綿がつめられていた。
萌はこれ以上見たく無いと思った。
何故だかすごく怖かったから…。
手の届かない萌の代わりに、おかあさんが手紙をおじいちゃんの頭の横に置いてくれた。
それから、いろんな人がおじいちゃんに何か言って、泣いたり笑ったり……。
お母さんがなにか言った時、ポロリとキラキラ光る涙が頬に光った。