天国へのエレベーター
「おじいちゃん、どっかにいっちゃうの?」
萌の小さな赤い唇の間から、そんな言葉が飛び出していた。
呪文みたいなお経が流れる中、お母さんは萌をぎゅーっと抱きしめた。
そのうち、おじいちゃんが入った箱は家の外へと持っていかれて、長い車に乗せられた。
お母さんは萌を抱いたままで、その車を見送った。
それから、騒がしかった家の中は急に静かになってしまった。
おばあちゃんやにいちゃんは、おじいちゃんと一緒にどこかへ行ってしまった。
残ったお母さんとお父さんが、二人で部屋の片付けをするのを萌は黙ってみていた。
お父さんがお母さんに何かを行ったとたん、お母さんはわんわん泣き出してしまった。
萌はすぐにお母さんのところへ行って、いつもしてくれるみたいに頭をなでなでしてあげた。
そしたらお母さんは、ニコって笑ってくれた。
それから、お父さんとお母さんと萌は大慌てで車に乗り込んで出発した。
いつもよりビュンビュンとばして、気が付くと前にはおじいちゃんを乗せた長い車がいた。
お母さんもお父さんも、ほっとした顔になった。