天国へのエレベーター
車から降ろされると、そこには見たこともない建物があった。
一見なんら変わりがないその建物だけど、その上の部分には長い煙突が付いていた。
「おかあさん…おじいちゃんはてんごくにいっちゃうんだよね?」
「そうよ…、だからお別れしてね」
皆が泣いている中、萌はおじいちゃんにバイバイ…とお別れを言った。
それからエレベーターみたいな扉が開いて、おじいちゃんはその中に入ってしまった。
お母さんはまたわんわん泣いた。
萌はお母さんに向けて笑顔で言った。
「おかあさんあのね、おじいちゃんはエレベーターでてんごくにいったんだよ。
えんとつをずーっとのぼったらね、そこはくものうえなの。
そこにはね、いっぱいおほしさまがいてね、おじいちゃんはおほしさまになるの」
お母さんとお父さんが萌を抱きしめた。
「おかあさん…おとうさん……くるしいよ」
だけど、萌は嬉しかった。
だって、お母さんの悲しい涙がとまっていたから。
「おかあさん、ほらおじいちゃんがわらってるよ」
その夜見上げた夜空には、たくさんの星がキラキラ輝いていた。
■おわり■