親友、寺に消ゆ
そういう事なら皆が大縄跳びの最中にユッキと抜け駆けした事を心配して損だと思えた。

それでも私は十字架探しに気が進まなかった。

お寺の人にみつかって怒られたりしたら嫌だったし、何より子供ながら不吉なものを感じたのだ。

今直ぐにでもこの場から出て皆の所に戻りたい気持ちが心の中に溢れてくる。

そう私が心の中で思った時、それを見透かしたようにユッキがさっき探してもいいって言ったよね?と有無も言わさぬような口調で言ってきた。

嘘ついたの?と言わんばかりのユッキは私が知っている明るく優しいユッキの口ぶりとは思えなかった。

ここから逃げ出したい気持ちと親友を裏切れない気持ちの葛藤の中で出た答えはやはりユッキを裏切れないという気持ちだった。

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