親友、寺に消ゆ
このままではユッキに全て見つけられてしまうかも知れない。

ファミコンにしろスケボーにしろユッキは自分より遥かに上手にこなしてしまうのだ。

悔しかった。学校でも皆に人気があり自分はユッキの金魚のフンみたいな存在だと周りから見られていると勝手に思い込んでいたのだ。

私は自分の土で汚れた手を見ながらこのまま見つけられてしまっては懸命に探した意味がないと思った。

またユッキに負けるのだと思った時、私は十字架が積み上げられた所に行った。

周りにユッキの姿がないのを確認すると一つを持ち上げ、その場を静かに離れた。

しばらく遠ざかった所でわたしは十字架の核の部分。二本の竹をくくっている縄を力いっぱい使ってほどきかかった。

きつく締められた縄は硬く私の手もただではすまなかった。

指先が切れ、血が溢れ出てきている。
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