親友、寺に消ゆ
私は震え、身動きができないでいた。

いきなりだった。

目の前のユッキが糸が切れたように膝から崩れ落ちると女の子座りで地面に座った。

途端、ユッキが顔をゆっくりと上げて私を見ると……言った。

「お前がこわしたんだよ!!」

そこにいたのはさっきまでのユッキではなかった。

ユッキの顔は怒りと恨みで変形していて正に化け物としか例えようのない表情をしていたのだ。

恐怖に打ち震えて固まった私の体は自分の叫び声で正常に戻った。

私は化け物になったユッキに素早く背をむけて一目散に逃げ出した。

ユッキが背後から追いかけてくる。

生い茂る草に足を取られ走りづらかったが気にしてる余裕はなかった。

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