親友、寺に消ゆ
寺院の裏に回り欄干のつけ根を確認すると長年の雨風にさらされたせいか、汚れて薄くはなっていたが╂×5とハッキリ読み取れる。

その近くの地面に土を集めて山をつくり、そこに火を点けた線香をさした。

それから手を合わせ目を瞑り、ユッキの冥福を祈った。

お礼と謝罪の両方をした後、私は線香の火を消してその場を後にした。

ユッキとの大切な思い出のお寺が燃えてしまったら困るからだ。

私はそれからユッキが住んでいた家の前からユッキがいつも使っていた登校路を通って母校の小学校に行くつもりだ。

そうしようと思ったのはなぜか笑顔のユッキがそばにいるような気がしたからだ。

二十年ぶりに親友と学校に登校するのも悪くない。

太陽の光を真正面から受け止めて、朝のホームルームに間に合わないくらいの遅いゆったりとしたスピードで私はユッキと共に歩き出した。

    ―――――了
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