えんどう豆のゆくえ
「自分より可愛い子は取り敢えずいじめる」

 そんな主義の三人は、斜に構えながら不機嫌そうに美姫を睨んでおり、女子は目を合わせないよう、全員が下を向いてしまった。

 目が合えば巻き込まれるのは目に見えたから。

 その張本人・美姫は、緊張しているのか全く前を向かずに席に座っているので、三人の視線には全く気付いていない。

「おー、怖い怖い」

と大袈裟に身震いする竜を、安物の化粧品でけばけばしく飾り立てた優花の目がぎんっと射すくめた。
 変質者出没情報や、合唱コンクールの課題曲が決まったという話。

 特にいつもと変わりのない先生の話が終わり、チャイムが鳴って休み時間になった。

 三人は顔を見合わせて意地悪く笑い、机の間をぬって美姫の所へ歩いていく。

 
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