えんどう豆のゆくえ

 「ここで失敗したら終わりやで、あの子」

「うまくやるとええけど」

「そんなに喋れる子には見えんで?ま、不合格言うとこやろ」

「陰険三人組に入るか、いじめられっ子になるかって、究極の選択やろ」

 私達三人は好き勝手に言っていたけれど、美姫はそれどころではなかったようだ。

 見ていて切なくなるほどしどろもどろになっている。

 それも当たり前だろう。その当時の三人には、小学生とは思えないほどの威圧感があったのだ。
 
 やがて優花が、嫌気がさしたとでも言いたげに、「もうええわ」と言い放つやいなやくるりと向きを変える。

 他の二人も、まるで優花と紐で繋がってでもいるかのように、彼女に付いていった。

 その時はうんざりした顔をしていても、後ろを向いたとたん、かずみが肩を小刻みに震わせ、微かに笑い声を漏らしたのに、全員が気付いた。
 
 それと同時に悟る。あの子達は、いじめるのにちょうどいい子を見つけたのだ。
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