えんどう豆のゆくえ
「あーあ、終わったー」

 三人組がトイレへと連れ立っていくのを見届けた竜が、妙に爽やかに呟く。
 教室の空気もそれをきっかけに少し和やかになった。

 居心地の悪い時間が「終わった」という意味なのか、美姫の学校生活が「終わった」という意味なのか。どっちでもよかったし、特に興味もなかったので聞かずにおいた。

「ほんまにあいつら性質悪いわ」

 風馬も顔をしかめている。「風馬は女子苦手やもんね」私がそう茶化しても、風馬は一言「うん」と言ったまま眉根にしわを寄せている。

 その顔はいつになく真剣で、私の中にまた一つ、美姫に対する嫉妬が顔を出す。
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