未送信めーる
夜。

私は一人でさっさと寝てしまった。

そうでもしないと,みんなの質問攻めにあうから。


「もう寝ちゃうの!?梓って好きな人いないのぉー!?」


みんなに聞かれる。


「いない」

とだけ言って眠りにつく。


「つまんないの」


好きな人ばらしたって得ないもん。

言わない方が,自分のため。


誰も気付いてないと思ってた。


まさか,気付かれてたなんて。




修学旅行2日目

この日は,観光に行った。

美味しい物食べて,ゆっくり回った。

一回だけ,タケとツーショットで写真を撮ってもらった。

私は笑えてなかったけど。

すごく,すごく楽しかった。


でもね,思い出はやっぱり色褪せちゃうんだよ。


あの時はあんなに楽しかったのに,今ではもう曖昧にしか思い出せない。


これより,もう少し後に起きた時の事ばっかり覚えてて,肝心な,楽しかったときの思い出は…


もう消えかかっていた。
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