未送信めーる

「気付いてねぇと思うけど,俺ずっとお前のこと好きだったよ」


「うそ…」


「ウソじゃない」


「でも私…」


「いいよ,まだタケが好きなんだろ?待ってるから…」

恵は,私を包む腕に力を込めた。


なんでそんなに優しいの?


なんでわざと落ちてんの…?


なんで…私なんかを好きでいてくれるの??


私,恵といるとドキドキするよ…


でも,このドキドキは『好き』じゃない。


恵が優しいから…勘違いしてるだけ。


「私…強くなんかないよ」


「強ぇよ…そう言うところが好きなんだよ。でも,辛いときは言っていい。頼っていい。甘えて…いいんだよ。俺は,そばにいるから」


こんなに優しい恵を…


傷つけたくないよ…


でも…自分の気持ちにウソは,つけない。


「恵…ごめんね。私は…まだタケが好きだよ…」


「あぁ…。でも俺,マジだから。待ってるから…」


恵は,本当に全てが優しい人。


私を優しく抱きしめてくれる。


私を,温めてくれる。


私の,全てを受け入れてくれる。


それなのに,私の好きな人はこの人じゃない。


ほかの誰でもなくて,タケなの。
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