未送信めーる
#03 今は,ただ
五時間目終了を知らせるチャイムが鳴り響く。
と,ほぼ同時に机をバンっと叩く音がした。
叩かれたのは,私の机だった。
叩いたのは,タケだった。
「……何」
私は語尾を下げ,顔は上げずに目だけ上を向けた。
「『何』じゃねぇよ!この野郎。お前のせいで授業に遅れただろ!」
「知らないし」
「罰として補習が出来ちゃったんだぞ!?」
「だから?」
「部活行かねぇといけねーんだよ,俺」
「なんで私に言うわけ。自業自得でしょーが」
「お前…可愛くねぇなーもうちょっとこう…
『ごめんね?』とか『手伝おっか??』とか言えないわけ!?」
可愛くない...
分かってるよ,そんなの。
「じゃあ可愛い子に手伝ってもらえば!?」
カバンを持ち,言い捨てるようにして教室を出た。
私って,ほんっとに可愛くない。
最悪。
「柴井ー!!」
背中のほうから声がした。
振り返ると,タケが走ってくる。
「何よ!」
…また強く言っちゃった。
「怒んなよ」
「怒ってない」
「あのさ,体育祭の実行委員のことなんだけど」
そういえば,もうすぐ体育祭。
「実行委員が何??」