CURODO
第一章 出会い
2月半ばのこの時期は、夜になると冷え込むから嫌いだ。
俺、若木亮太(24)は今、そんな寒空の下で、遊ぶ金欲しさに宝石店を強盗しようと企てている。幸いなことに、警備員はいない。ラッキー!
「うおぉ・・・寒い・・・。」
ぶるぶる震えながら裏口に回って、大事なことに気がついた。鍵がねえ!!
 自分の馬鹿さに呆れながらそこら辺をウロウロしていると、トイレの窓が開いていた。ラッキー!!俺、実は今日何気にラッキーデーなんじゃないの!?軽い足取りで早速中に入った。
(うわっ、暗いなー。)
一応、強盗なので壁に背中を付けながら監視カメラに映らないように歩く。
ここでふと思ったのだが、監視カメラを気にしていたら目の前にある宝石を盗れなくないか?いや待て。背中だけなら見せても大丈夫だろう。うん。きっと大丈夫。
(よし、やってやる・・・!)
ササッと動いてショーケースの前に来た。ここで普通は鈍器とか銃とかそんなんでガラス割って中の宝石盗るんだろうけど、そういえば俺、武器ってナイフしか持ってない。ナイフでショーケースをどうしろと!?
 さてこれからどうしよう。このまま引き返すか、それとも頑張って、俺の「必殺☆若木アタック」とか使って割って宝石盗って逃げようか。いやいや今はふざけている場合じゃない。ていうかまず大きい音を立てたら店の明かりがついてサイレンがやかましく鳴り響いちまう。本気でこれからどうしよう。監視カメラの存在も忘れてウロウロしてると、思い切り何かを踏んだ。と同時に悲鳴が上がった。
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