CURODO
第四章 敵の正体

現れたのは

「隠れているのは分かっています、真矢お嬢様。外では私の部下が張っている。・・・逃げても無駄だ。」
 現れたのは、長身で細身の黒スーツ男だった。俺は車の陰で息を潜めていた。この男は真矢の知り合いなのだろうか。
「出てこいと言っているだろう。何度も言わせるな!」
「・・・。」
 男の声がさっきより大きくなったが、真矢は出て行かなかった。
「どうせファミリーは壊滅するさ。あいつにはボスの素質がない。街の奴らを守るなんて仕事は俺はごめんだね。マフィアってのは殺しをやってナンボのもんだ。俺の方がファミリのボスに向いてる。だから、俺がボスになって世界を新しく作り変えてやる!!くくく・・・くはは・・・あはははははは・・・!!!」
 なんつー野望だ。まさかこの時代にアニメみたいなことを本気で言う奴がいるとは思わなかった。
「そう、それがあなたの望みなのね、如月。」
 真矢がスッと柱の陰から出てきて、如月と呼ばれた男の前に立った。
「ふん、お前には理解出来ないだろうがな。」
「いいえ、よく分かるわ如月。確かに今のウチじゃいずれどこかのファミリーにやられてしまうもの。あなたが次期ボスになる。いいじゃない。素敵よ。」
 首を少し傾けてにっこりと笑いかける。
「どういう風の吹きまわしかは知らんが・・・お前の考えてることは全てお見通しなんだよぉお!!」
 ぐるりと後ろを振り返って如月が銃を向けた。銃の先には、銃を構えた俺がいた。
「「!!」」
 作戦がバレたのか!?。如月が来る直前に話し合った完璧な作戦のはずだったのに・・・。

―――いい?追っ手が来たら囮作戦であたしが敵の前に出るから、あなたは背後にまわって奴に銃を向けて。脅して逃げるのよ。
―――俺銃なんて持ってねぇよ!
―――大丈夫。あたしが一丁貸してあげるから・・・。

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