-月の果てreplay story-
「――…なんだ、この町は…」
キルトは、その薄汚く生気のない町に頬を歪めた。
黒馬は、ブルルと身を捩らせる。
「本当にこんなところにソフィがいるのか…?」
キルトは、心底疑わしいというような目で、
トラキアを睨んだ。
トラキアは、そんなキルトに視線を合わすことはなく深刻そうな面持ちで
「…わからない」
と言った。
……なんだって?
キルトは、唖然としてトラキアを見つめ
傍にいたデカルトは、眉をひそめた。
「だけど、ここは…アイツが..」
トラキアは、ふっと瞳を細くして辺りを見渡した。
そして、
「お前の兄貴が、いる」
と真っ直ぐにキルトの瞳を見つめて言った。