-月の果てreplay story-


───…そこは、僅かな灯りだけが

灯る暗闇の中だった。



「姫君、準備はいいかな?」

ダネスは、トントンと戸を叩いた。



「────…ええ、」


と部屋の中から現れたのは、

真っ黒なドレスに

身を包んだソフィだった。



「……うん、いいね。似合うよ」

とダネスは、

ソフィを見下ろして微笑んだ。


「……そうかしら?」


ソフィは、

不服だと言うように眉を潜めた。


そして


「こんなドレスじゃ、まるで喪服じゃない。それに……っ」


ソフィは、怒りを込めて


「どうして着替えさせる従者が、男なのよ!」


と部屋の中の男を指差して

ダネスを怒鳴りつけた。
< 263 / 496 >

この作品をシェア

pagetop