-月の果てreplay story-
──…ガラス越しに
中庭を見つめるデカルト。
そこは、
三階にあるキルトの部屋からだった。
「王子、よろしいのですか?」
「何が」
天竺付きのベッドで体を起こして
膝の上で
眠ってしまったライアンを撫でながら
キルトは、機嫌が悪そうに言った。
「ソフィ様の事です。もう何日そうしておられるおつもりですか?」
デカルトは、たしなめるように言った。
「……知らない」
キルトは、声だけで言った。
「だって今は、"ソフィ"が」
「分からないんだ」
キルトは、
そう言うと膝の上で眠っていた
少したてがみの生えてきた
ライアンを抱き締めた。