-月の果てreplay story-
「……図ったな」
キルトは、少しだけ赤くなってデカルトを睨みつけた。
「……いえ、別に」
とデカルトは、目尻の涙をすくった。
ふいにデカルトは、少し形の歪んだ
鉄格子を見つめた。
「……もう、抵抗はしないんですか?」
その歪みはキルトが、
牢屋から脱出しようと足掻いた痕だった。
その痕から真逆のほうへ首を捻ったキルトは、むすっとして
「ほっておけ」
とふてくされた。
「そのつもりです」
デカルトは、にっこりと笑う。
キルトは、チラリとデカルトを見て
「ほんっとにお前はイヤな奴だな」
と皮肉を言った。
デカルトは、「ええ」と
微笑むだけだった。