-月の果てreplay story-
「──…もう、笑いもしない」
女のハミング調の歌は、続く。
───…カラン…、カラン…ッ
「"勝った"のは、私なのに……」
───…カラン..ッ
ふとダネスの酒を混ぜる指が止まった。
「君を手に入れたのに──…」
ダネスは、
グイッと女の顎を引き寄せた。
女の歌は、止まる。
男の瞳には、
愛おしさと嫉妬が入り混じっていた。
そして、
双方の唇は重なった。
───…カランッ
グラスの氷は、
再び寂しそうに音をたてたのであった。