たとえばそんな静寂の中で
みにくいアヒルの子は美しい白鳥になりました。


あたしは・・・・。


いつまで経ってもアヒルのまま。



あたしは、自分を取り巻く世界が自分と家族以外の人間で構成されていることを知ったとき、自分がおねえちゃんより優れているものを探した。


小学生のときだ。


何も見つけられなかった。


今に至るまであたしは常に注意深くおねえちゃんを観察していた。



瞳の色が違うことがいじめの対象にならないのか?


自分の外見にうぬぼれているんじゃないのか?



おねえちゃんを心配してたんじゃない。

自分でもなんてイヤなヤツなんだろうって思う。

常にあたしより上にいるおねえちゃんをあたしと同じ人間だと、欠点のある女なんだと実感したかっただけなんだ。


おねえちゃんの美少女っぷりは音に聞こえて、7歳も年下のあたしの耳にも届くくらいだった。


あたしは心底年が離れているのが嬉しかった。

中学校や高校で同じ学校にあんな女がいたら、ましてやそんな女と姉妹だって知れたら。


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