たとえばそんな静寂の中で
校舎の前にたどり着いたら茜はふくれっつらで、掲示板にもたれかかっていた。
「もう。ずっと呼んでるのに、房枝、耳遠いんじゃないの?」
「ごめん、ごめん。なんだかぼーっと歩いてて気づかなかった」
「ほんと~?悪いと思ってるようには見えない」
「ごめんね。全然聞こえなかったの」
茜は一度すねると機嫌をとるのに一苦労する。
これ以上ご機嫌を損ねないようにあたしは精一杯の笑顔を作った。
「それより見て。掲示板」
茜が指差した先に講師変更の張り紙があった。
<一般教養 心理学>
<鈴木勝講師に代わり前期講義は明正女学院大学 北条紅実講師が担当します>
教務課の朱印を押した貼り紙が望みもしないのにズームアップされて視界に入ってきた
「私の高校時代の友達が明正女学院行ってるんだけど、この北条先生って20代で助教授になるかならないかっていうすっごい優秀な先生なんだって」
「ふーん」
そんなこと、茜に言われなくてもずっと前から知っている。
茜は手にした携帯をいじりながら話し続ける。
「あそこって偏差値高いよね。頭がよくてずっと学校に残ってるオンナなんて灰汁みたいにいやーな雰囲気浮かべてさ、とっつきにくい感じなんじゃないの?」
「そんなことは・・・」
「心理学は単位取るのが楽って言ってたのにさ、なんか話変わってきたよね。卒論もあるのに一般教養ごときで時間取られたくないね。あれ?そういや北条って房枝と同じ苗字じゃん」
「あのね、茜・・」
「もう。ずっと呼んでるのに、房枝、耳遠いんじゃないの?」
「ごめん、ごめん。なんだかぼーっと歩いてて気づかなかった」
「ほんと~?悪いと思ってるようには見えない」
「ごめんね。全然聞こえなかったの」
茜は一度すねると機嫌をとるのに一苦労する。
これ以上ご機嫌を損ねないようにあたしは精一杯の笑顔を作った。
「それより見て。掲示板」
茜が指差した先に講師変更の張り紙があった。
<一般教養 心理学>
<鈴木勝講師に代わり前期講義は明正女学院大学 北条紅実講師が担当します>
教務課の朱印を押した貼り紙が望みもしないのにズームアップされて視界に入ってきた
「私の高校時代の友達が明正女学院行ってるんだけど、この北条先生って20代で助教授になるかならないかっていうすっごい優秀な先生なんだって」
「ふーん」
そんなこと、茜に言われなくてもずっと前から知っている。
茜は手にした携帯をいじりながら話し続ける。
「あそこって偏差値高いよね。頭がよくてずっと学校に残ってるオンナなんて灰汁みたいにいやーな雰囲気浮かべてさ、とっつきにくい感じなんじゃないの?」
「そんなことは・・・」
「心理学は単位取るのが楽って言ってたのにさ、なんか話変わってきたよね。卒論もあるのに一般教養ごときで時間取られたくないね。あれ?そういや北条って房枝と同じ苗字じゃん」
「あのね、茜・・」