たとえばそんな静寂の中で
「むかつく!」

ポテトチップスの大袋を茜は思いっきり引き裂いた。

講義室をでて中庭を抜け、ピロティーの横にある白いベンチに茜と並んで座った。

途中の学生食堂で茜はポテトチップスとクランチチョコを買った。

茜の怒りを一身に受けて、袋をまっぷたつだ。

この大袋の中身は一気に全部食べてしまわなければ収拾がつかない。


「確かにすっごい美人なのは認めるよ。認めるけどああいうやり方って絶対ないよ。60過ぎの陰険ババアならありえるけどさ、まだ20代のぺーぺーの講師が何様のつもりよ」


―姉妹だなんていいだせないなー

あたしはポテトの油でべとつく指先をティッシュでぬぐいながら黙って聞いていた。


「あの人、友達いなさそ」

自分の範疇を超えるとなんで女って同じせりふをいうんだろう。

こうやってグチを聞いてあげて、一緒にポテトをつまむのが・・友達?

茜はまだ気づいてないんだ。

口に出すことで優越感を誇示してる、単に強がっているだけにすぎないことを。
< 24 / 27 >

この作品をシェア

pagetop