たとえばそんな静寂の中で
あたしはおそらく茜よりたくさんの実例を知っているだろう。

ケイト・ボスワーズはヘイゼルとブルーのとても美しい瞳だ。

他にも黒と青の組み合わせの人、茶色とグリーンと探せば思った以上の確率でヘテロクロミアの人間は見つかる。

日本国内でも薄いグリーンと茶色の中間色の瞳を持つ人間は割りにいるようだ。

特に東北地方、お米どころになぜか分布している。

もしかしたら、遠い昔にロシアあたりの人々がこぞって海を渡って住み着いた時代があったのかもしれない。

しかし、あたしはおねえちゃんの瞳、ブラックとゴールドの組み合わせは他の誰の顔面にも見たことはなかった。

よしんばあったとしても、その色の組み合わせの品格に堪えられる顔立ちはそうそうあるとも思えなかった。

「あれだけの顔立ちだったらハーフか、それともどっかで外国の血が混じっているのかもね。それはともかく、スクールカウンセリングだっけ?私はあの女に相談するくらいなら、いのちの電話に相談する」

勢いづいて最後のポテトチップスを口に入れると茜は立ち上がった。


「美人で気位が高くって、学歴も高いなんて。その辺のオトコじゃ満足しなさそう。ああいう女の山よりも高いプライド、一度ぐちゃぐちゃにしてやりたいわ」



激しい言葉に満足したのか、茜はにっこりと微笑んだ。



「房枝、お昼食べにいこ」
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