2つの世界
「でも…」

心配性で臆病なあたしは、ムリとしか思えない。

「じゃぁ、こうしない?今日の仕事、全部カツラなし、エクステなしでやる」
「だから、ムリですって!!」
「明日、クラスの誰にもバレなかったらメイクだけでもいいってことじゃない?」
「そうですけど…」

仲野さん…目が楽しんでるって感じですよ…。

「もし、明日バレてなかったらこれからメイクだけにするわ。」
「それいいな。」
「…わかった。」

もー、どーにでもなれ!!

そして、メイクしてもらった。

「よし。上出来だ。」
「はぁ。…って、えっ!?なに、これ…。」
「全然違うだろ?」
「うん。違う。」

鏡に映ったのは、生嶋麻莉ではなかった。

「あんた、本物だね。」
「悠斗はプロに一目置かれるほどよ。」
「うっそ。まぢ!?」

なるほど…。プロ級だったのかぁ。

今日の仕事は4つ。

バラエティーが1本と、雑誌の撮影が3つ。

ちなみに、バラエティーが生放送。

まず、雑誌の撮影。おそるおそるスタジオに入る。

「よろしくお願いしまーす…」
「あ、桜ちゃん!!」
「波留さん。おねがいします。」

波留さんは、事務所の先輩。いい先輩で、相談にも乗ってくれる。

「あれ、桜ちゃんメイク変えたー?」
「えっ!?あ…はい」
「やっぱり?顔がさらにちっちゃく見えるー♪」
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