2つの世界
「いや、仲良くはないけど…。いつから、あたしだと思ってたの?」
「うーん…。今日、最初に会ったとき、笑ったでしょ?」
「え、うん…。」
「笑顔が同じだった。」
「それだけ!?」
「うん。他にも、同じ事は、あったけどね。」

すご…。それだけでわかるんだ…。

「聞いてもいい?」
「なにを?」
「なんで、顔まで変えて芸能人やってるの?そのまんまでも、麻莉はかわいいのに」

…言うべき?

「言った方がいんじゃね?」

悠斗がそう言った。…言うしかないか。

「あたし、この仕事したいけど今の学校をやめたくないし、芸能人だからってみんなのあたしに対する態度が変わるのも嫌だった」
「それで?」
「だから、メイクとちょっと前までカツラで生嶋麻莉だってことを隠してた」

なぜか、また沈黙。

「なんであたしにまで隠すの?」
「優花は、桃谷桜のファンだから。」
「だから、あたしも麻莉の見方が変わると思ったの?」
「うん…。」

そう言うと、優花は怖い顔になった。

「ごめん、優花。でも…!!」
「あたしの事、信用してなかったんだね。」
「そうじゃない…けど」
「けど、なに?結局そういうことでしょ?あたしは、麻莉を信用してたし、親友だと思ってた。」
「ごめん…」
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