2つの世界
「ちげーよ。」
「はぁ!?」

悠斗…。

「あんた、さっき怒ったんじゃないの?」
「怒ってねーよ。呆れただけ。」
「…。」

無表情だからわかんなかった。

「あ、ちげーよ。って何が?」
「いきなりだな。」
「いいから!何が?」
「あの人は、何か企んでる。」

また、なにを言うかと思えば…。

「もう、いいよ。波留さんは、そんな人じゃないよ。」
「俺、姉さんの弟。そーゆーの当たりやすい。」
「はいはい。じゃぁね」

悠斗の感、ちゃんと聞いてれば良かった。

「今日のゲストは、桃谷桜ちゃんと、夏目波留ちゃんでーす!!」

いつもどうり、始まった番組。波留さんとあたしと司会者の3人でトーク。

でも…3人でトーク。ってゆーのは、間違いかも知れない。

あたし、全然しゃべってない!!

この前と同じで、波留さんが喋らせてくれない。

あ…悪意はないよね。話すのがうまいんだよ、波留さんは…。

そのあとの収録、またそのあとの収録、全部波留さんが…。

「ほら、な?」
「う…。違う、違う!波留さんは、トークの才能があるんだよ!!」
「じゃぁ、なんでお前のトークだけ邪魔すんの?」

…。痛い。その言葉は痛い!!
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