2つの世界
「そうだけど。」
「じゃぁ、当然じゃん?」

悠斗はメイクをほめると、心から嬉しそうな顔をする。

けっこうメイクの仕事が好きらしい。

「桜にほめられると照れんな。」
「じゃぁ、何回でもほめるよ。」
「ちょっと、こっち向いて」

悠斗がそう言ったから、隣にいる悠斗を見たら…。

不意打ちのキス。

「…不意打ちはズルいよ。」
「桜がかわいいこと言うから悪い。」

こんな会話を、誰かに聞かれてるなんて思わなかった。

「どういうこと?麻莉…メイク…。調べてみよ〜♪」

そう、あの人に聞かれてるなんて…。

次の日、いつもどうり学校に。

とっくに広まってる、あたしと悠斗の事。

「麻莉〜!おっはよ〜♪」

聞きなれた優花の声。でも今日はご機嫌だ。

「おはよ。どうしたの?機嫌いいじゃん。」
「あとで話す〜♪」

あとって。優花のあとでは、早くても20年後だ。

「今話してよ!!」
「わかった♪実はさ、やっと許してもらえたの。」
「なにが?」
「芸能界デビュー!!」

…。芸能界?

「じゃぁ…優花も?」
「うん。事務所に入る。」

うそ…。

「でも、どうしていきなり?」
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