〜お伽話〜
「何でそんな所に…」
生身の人間が、銀翼の砦に入れるわけがない。
姫が魔女にさらわれた可能性は、潰れた。
魔女は元来、生粋のアホだ。
完璧な毒入りと分かる果物を堂々と渡したり、ちっこい宗教馬鹿な人間に崖から突き落とされたり。
対して美人でもないのに自意識過剰でヒステリーだったり。
上げだしたらきりがない。
とにかく魔女は生身の人間だ。
そんなやつが、気が狂わない限り銀翼の砦なんかに入るわけが……。
ちょっと自信がなくなってきたぞ。
「ラティスト!!」
いきなり、肩をおさえつけられる。
勢いよく振り返ると、バーディが不自然に口を歪めていた。
「…バーディ」
「いないと思ったら、こんなトコに…」
そのまま、首を掴まれ引きずられていく。
今日の空も、青い。
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