〜お伽話〜
普通の十八歳は、大体兵士として戦に出かけたりしていた。
職についてない男性は、教育もままならないまま戦争にかりだされていくのだ。
そのぶん、俺達は幸せなのだ。

とにかく、俺達はあくまで脇役。
お伽話の中で生きていく為には、主人公を援助する他ない。
決して主役になるなんて事はないと思っていた…。


「ラティスト、ご飯つくって」
「ん」
椅子に座ってゴロゴロするバーディを横目で見ながら、俺は街で買った食料を調理していく。
何もない質素な部屋は、木でつくられた椅子二つと大きな机。
台所、大きな窓があるだけ。
風呂場とトイレを合わせないこの家の部屋数は、五つ。
一階に三つ、二階に二つ。
全部屋、このような殺風景な部屋ばかりだ。
火加減を調整しながら隣でスープ作り。
バーディはそんな光景を見ながら、欠伸でもしているのだろう。
数十分後、机にたくさんの料理が並べられた。
「…やっぱりさあ、わざわざ俺の不味い飯食わなくてもラティストが毎日作ったらいいじゃん」
「やだ、疲れる」
フォークを手にとり、出来上がったばかりの料理を口にはこぶ。
バーディがグラスに注いだ水を一気に飲み干すと、喉を滑り落ちる感覚がした。
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