〜お伽話〜
「…ラティスト」
「ん」
「…腹へった」
うつろな目が、窓の外にそそがれた。
今日も快晴だ。
まだベッドの上に座ったままのバーディの後ろにまわり、棚の上からくしを取る。
金色の髪の毛をといてやると、バーディは欠伸を噛み殺した。
「今日どうする?」
「まあ一応街におりて、剣を売ってみよう。少し、姫も気になるし」
うらめしそうな目が、向けられる。
「…気になったんじゃん」
「ちょっとだけ、な」
パンを食べ終えたバーディが、もう一度伸びをした。
といてやった髪の毛が、艶をはなっている。
「今日は、バーディの番だよな?」
からかうように上目づかいに見つめると、バーディは首を傾げた。
「…何の事?」
「今日の朝飯」


苦し紛れについた嘘は
難無く見破られた。
幻想的な夕日の中
背中におぶられ
涙をからした。
「父さんは、貴方の事が好きだったよ」
苦し紛れについた嘘は
難無く見破られた。


不味い朝飯を食った後、俺達はたくさんの剣をもって出かけた。
丘をくだり街に出ると、いつも以上に騒がしい。
「何」
「またあの姫の事じゃね?」
そう言いながら、借りている店を開く。
煉瓦づくりのその店は小綺麗で、だが欠点があった。
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