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バイトを終えて24時間営業のスーパーで買い物をしてボロアパートまで歩いていた。
深夜の歩道は誰も歩いてなくカサカサとビニール袋のこすれる音と足音が耳を打つ。
(なんか最近さぁ・・・)
さっき宮崎さんが言った事がずっと引っ掛かっていた。
「なんか変なんだよなぁ」
ポツリと独り言を呟く。異変が起こり始めたのは3日前からだ。

バイトのコンビニ中にそれは起こった。
店の周りを掃除しゴミ袋を片付けて店の中に入ったら宮崎さんが神妙な顔をしていた。
「臼井。あのさぁ客、誰も来てないよな?」とたずねた。
「はい。誰も来ていませんけど・・・どうかしたんですか?」
「肉マンがないんだよ」
「肉マン?」
「俺がトイレ掃除する前には確かに一個、ここにあったんだよ」
宮崎さんはレジの横においてある肉マンケースを指差した。
「えぇ、確かにありましたよね。僕も覚えてますけど・・・」
ここではじめて僕が宮崎さんに疑われている事に気がついた。
「僕じゃないですよ、だってずっと外にいたんですから!」
「・・・そうだよなぁ。臼井がそんな事するわけないしなぁ」
どこか歯切れの悪そうに返事をした。
「防犯ビデオで確認したらどうですか?」
「おぉ、そうだ!それがあったな!」
僕達は別室に置いてあるビデオの機械を巻き戻してみたが、あいにく肉マンケースはどのカメラにも死角になっており、なにも証拠になるものは写ってなかった。
結局、肉マンのお金は半分ずつ自腹をきることにして、その日の小さな事件は終わった。



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