『サヨナラユウビン』

†運命

私が家に帰ったら、うちのドアの前に、全身真っ黒で背の高い人が居た。

「あの…?」

私が声をかけると、その人はゆっくりこっちを向いて、

「吉原香織様でございますか?」
「そうですが…」

「お手紙です」

…その言葉を聞いた瞬間。

『家の前にさ…黒ずくめの男が立ってて…そいつに、黒い手紙をもらったんだ…』

「黒い、手紙」
「ご存じですか?」

同化してしまいそうな、黒い手紙を手にもった黒ずくめさんが、意外そうな顔をした。

「すみません、まだお若く可愛らしい方にこの手紙を配るのは、若干気がひけるのですが…。仕方ありません」
『その手紙にさ』

「あ、申し遅れまして…私、こういうものです。」

手渡された名刺。
…悠也に見せてもらったやつと一緒だ…

「…」
「…ああ…思い出した…」

私が驚いていると、その人は信じられない言葉を口にした。

「あなた、朝井悠也様のお知り合いですか?」

完全に、思考が停止した。
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