『サヨナラユウビン』
まさか

「え…」

まさか

「ですから、朝井悠也様とお知り合いの方ですか?」

この人は

「そう、ですけど」
「ああ、やっぱり」

悠也に 手紙を配達した…

「これもなにかの縁でしょうか。私、この前朝井様にそれと同じ手紙を配達したんですよ。」

…なんで

「う…そ」
「…まぁ、皮肉な縁ですが、ね」

本当に…そう

「それではそろそろ失礼いたします。
あ…その前に」
「…?」

私に背を向けたその人は、また振り返る。
…しつこい人…

「お電話、お借りできます?携帯でいいのですが」
「…何に使うの」
「なに、朝井様にお電話をさしあげるだけです。…お借りしますね」

いつの間にか目の前で笑っていた黒ずくめさんは、その手に私の携帯を持っていた。

…いつの間に…?

ぱか、と携帯を開いて、慣れた手つきで数字を打ち込んでいる。
確認して、通話ボタンを押した…

私は、この電話に悠也が出ませんように…と祈ったけど、神様はそんな願いを叶えてくれなかった。

「あ、もしもし」

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