『サヨナラユウビン』
何事かと思った。
この世が信じられなくなった。

「朝井悠也様ですよね?今晩和、あなたにお手紙をお配りした者です。」
「お前…!!!
香織の携帯なのか?
香織に何をした!」

俺は立ち上がって、電話の向こうの男に怒鳴った。

「あまり大声を出さないでいただけますか?
私、耳がいいので頭が…」
「なにをしたって聞いてんだよ!」

あいつの溜め息が、電話越しに聞こえて。

「お手紙をお配りしただけです。なにもしていませんよ」
「なっ…」

なんだそれは。
香織に手紙を?
嘘だ…夢だ…夢…

「残念ですが現実です。…運命というのは、本当に残酷だ。
そうおもいま」
「くそっ!」

いい終わる前に電話を切って、俺は家を飛び出した。

香織…
きっと怖がってる。

今行ってやるから…

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