『サヨナラユウビン』
「失礼いたします」
「は、はぁ…」
深々と頭を下げられて、俺もつられてぺこっとする。
俺に当たらないように少し避けながら、黒ずくめが横を通った。
…ぞわ
「っ…」
寒気がした。
…やっぱりこいつ…絶対おかしい。
バッてそいつの方を向くと、そいつも俺を見ていた。
「すみません、申し遅れまして…私、こういうものですが」
こちらに近付いて、黒ずくめは名刺を差し出した。
白い名刺…はいいんだけど…
名前や会社名が、赤い字で書いてある。
明朝体で、また不気味さが増す。
「それでは」
今度は浅く礼をして黒ずくめは去って行った。
急に、いつもの空気に戻る。
今まで違う世界にいたみたいに…――。
少しだけ熱をもった風が、俺の髪を揺らした。
「は、はぁ…」
深々と頭を下げられて、俺もつられてぺこっとする。
俺に当たらないように少し避けながら、黒ずくめが横を通った。
…ぞわ
「っ…」
寒気がした。
…やっぱりこいつ…絶対おかしい。
バッてそいつの方を向くと、そいつも俺を見ていた。
「すみません、申し遅れまして…私、こういうものですが」
こちらに近付いて、黒ずくめは名刺を差し出した。
白い名刺…はいいんだけど…
名前や会社名が、赤い字で書いてある。
明朝体で、また不気味さが増す。
「それでは」
今度は浅く礼をして黒ずくめは去って行った。
急に、いつもの空気に戻る。
今まで違う世界にいたみたいに…――。
少しだけ熱をもった風が、俺の髪を揺らした。