『サヨナラユウビン』
突然の死の宣告に、俺は…

笑った。

今時不幸の手紙か!
そりゃあ、宛名も差出人も不明なわけだ!
あの蝋人形みたいなヤツもグル…もしくはあいつが作ったのか?
なんか、納得いくけどな…

とりあえず、こんなの質の悪いイタズラだ。
怖がって、馬鹿みてぇ。
俺は久しぶりに、涙が浮かぶまで笑った。

笑いがおさまってから、俺は名刺もちゃんと見てみる。

郵便『サヨナラ』
TEL.444-9494-471

死神No.0698

「うわ、超オカルトチック~暇人だなぁ」
この電話番号もなんだよ…今度香織とかけてみっか。

俺は名刺を封筒の中に入れて、テレビをつけた。

ザー…

「あれ?」
放送が終わるほど遅い時間じゃないはずだ。うちじゃ映らないとこ押してたのか?

俺はリモコンの8を押す。

ザッ…ザー…

「故障か?」
俺はのそのそとテレビ(薄型じゃない)に近付き、画面の横を叩いた。

ザザッ…ザー…

…むかつく。
「だから早く薄型買おうっつったのに!」
バンバンいろんな所を叩く。
すると。

「ああ…すみません…電波を妨害してしまって」

直った?
…いや…すごく…嫌な予感がする。
この声も、どこかで聞いた声だ。
しかもつい最近。

「悠也様?いらっしゃいますか?」
「いらっしゃいません」

イラッとして、低い声色で言う。
そして、テレビの主電源を切った。

…消えない?

何度押しても消えない。
すると、段々砂嵐が人の顔を映し出していく。
それは、今さっき会った蝋人形の黒ずくめ。
「…」
「睨まれるのは慣れていますが…あまりいい気分にはならないのでお止めください」

砂嵐をバックに、荒い映像の黒ずくめの顔。
今度はなにか帽子をかぶっている。
黒い帽子。

「先ほどはとんだ粗相を失礼いたしました。」
「本当にな」

睨むのを止めずに言うと、黒ずくめは苦笑した。
…なんだ、これは。
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