『サヨナラユウビン』
そもそも、なんでテレビで人と人が話せるんだ。
最近はテレビ電話みたいなのがあるみたいだけど、うちはそんなの申し込んだ覚えはない。
イタズラどころの話か?

…俺は冷静さを装うために、画面を睨み続ける。

「この私が帽子を忘れるなど…本当にもうしわけない」

帽子?
帽子の事を謝る?
手紙じゃなくて?
…なんなんだ。
むかつく。

「…なんだよ」
「いいえ。
ただ、私と話してくれる方なんて久しぶりで。」

…話さざるを得ないだろ、この状況は。
頭足りねえのか、こいつ…。そんな風には見えなかったけど。

「そういうわけで…
誠に残念ですが、あなたは1週間後…お亡くなりになりますので、貴重な残り時間を大切になさってくださいね。」

プツン。
真っ暗になった。
あいつ…!自分の用件だけ言ってさっさと消えやがった…!
でもこんなの…どうやって…。
…いや、きっと…電気に強いヤツなら、簡単にジャックできるんだろう。
――明日、学校で聞いてみるか。

俺はテレビも見る気をなくして、ベッドに横になった。

今日は幸せな日だったはずなのにな――

ゆっくり眼を閉じたら、疲れていたのかそのまますぐ眠りについた。
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