彼は私の子供です。
健太は私の耳にタオルをあててた。
そのタオルには少し血がついてて。
健太が誰かに電話してる姿を見ているところで意識が飛んだ。
目が覚めれば病院。
点滴されてた。
耳は鼓膜が破れてた。
でも聞こえないはずはない。
って医者は言う。
でも私は、血が出た左耳が聞こえない。
それから色々検査をした結果。
精神的なものだろうと言う理由でしばらくの間、私は耳が聞こえなかった。
「…別れた方がいいのかもな…」
健太は情けない苦笑いをした。
「…バカ。責任とりやがれ!」
「…だよな」
また苦笑い。
結局、私達は弱い。
弱い者同士、別れる勇気さえ持ち合わせてなかった。