彼は私の子供です。
「あんた、健太と付き合ってんの?」
更衣室で着替えてる途中、私は一人の女の人に声をかけられて。
振り返ったら、そこにはお店のナンバー2の「みさき」さんがいて。
「付き合ってないですよ?」
よかった。
もしほんとに付き合ってたとしたら、きっとこのセリフは言えなかった。
ツラくて言えなくない?付き合ってたらさ。
そう言っても引き下がるような人じゃないのはわかっていた。
たった一言のその言葉を信じるくらいなら、彼女は私に直接聞くような真似はしないだろうと思ったから。
私が気に入らないんだなと思う。
みさきさんは私より3つ年上で、私よりも随分古くから働いている。
ナンバーに入ってるくらいだから、結構稼いでるはず。
それを突然入ってきた女の子が、彼女よりも稼ぎ出したら気にくわないと思うのが、この業界。
奇跡だったんだってば。
ナンバー2を追い越すことができたのは。
もうがむしゃらに突っ走ってましたから。
そんな都会の大それたお店で働いてるわけじゃないし。