彼は私の子供です。



「あんた、健太と付き合ってんの?」




更衣室で着替えてる途中、私は一人の女の人に声をかけられて。



振り返ったら、そこにはお店のナンバー2の「みさき」さんがいて。




「付き合ってないですよ?」




よかった。
もしほんとに付き合ってたとしたら、きっとこのセリフは言えなかった。



ツラくて言えなくない?付き合ってたらさ。




そう言っても引き下がるような人じゃないのはわかっていた。



たった一言のその言葉を信じるくらいなら、彼女は私に直接聞くような真似はしないだろうと思ったから。




私が気に入らないんだなと思う。



みさきさんは私より3つ年上で、私よりも随分古くから働いている。


ナンバーに入ってるくらいだから、結構稼いでるはず。



それを突然入ってきた女の子が、彼女よりも稼ぎ出したら気にくわないと思うのが、この業界。



奇跡だったんだってば。



ナンバー2を追い越すことができたのは。



もうがむしゃらに突っ走ってましたから。



そんな都会の大それたお店で働いてるわけじゃないし。





< 59 / 300 >

この作品をシェア

pagetop