本の間に挟まれたオシバナ…
デートしているとき、何らかの異変があったのかもしれない。

きっと手を振り払わなかった自分に怒鳴りたかったに違いない。

ヘラヘラ笑う自分に腹を立てたに違いない。

一番辛かったのは自分ではなく充だった。

今日昼休み誘ってきたのは自分が別れを切り出すチャンスを作るため?

引き留めなかったのは初めから別れ話をされることを知っていたから?

充は昼食をどんな思いで食べていたのだろう。

今となってはわからないことだが、必死で感情を押し殺していただろう。



「充ぅ…充……」



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