愛生
悲劇のヒロインって思われないかな。

自慢に聞こえないかな。

・・・自慢?

自慢じゃなくね。

「あは・・・あはっはっはっは!!」

1人で大声をあげて笑う。

最低だな、私。

こんなに佐藤の事で悩んでる自分が好き。

楽しい。

私悲しすぎるって思って

他人を貶そうとしてる。

どこかでどうにか佐藤の悪い所を探してる。

[ 電話にしましょ ]

と野々垣さんに送信完了して携帯を閉じようとした瞬間に

携帯が鳴る。

電話だ、しらない人。

野々垣さん、はっやー。

「もしもし」

もしもしってなんだろーなー。

もしもしって、もしもしって。

『さあ、吐け!』

うぎゃ、野々垣さん楽しそう。

私は野々垣さんに自分の覚えてる限り

自分の感情もこめて全部話た。

嫌われるとか、もうどうでもいい。

誰かに話したい。

私、こんなに悩んでる。

「私、佐藤が好き!」

あ、ちょっと大声過ぎた。

おかんに聞こえたかもしれないけど

そんな事今はどうでもいい。

野々垣さんは適当な時に相槌を打ちながら聞いてくれた。

私の話は終わったのだけど

野々垣さんは何も話さない。

「あの、終わりです」

まあ、困るよな。

野々垣さんに告白しても。

ごめんなさいって言えばいいのに。

いや、限りなくおかしいけど。

『あのね、佐藤が好き!ってのは私にじゃなくて佐藤に言いな?』
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