愛生
「無理」

即答だった。当たり前だ。

謝る事もうまくできなかったのに、告白なんか到底できない。

『え、好きなんだよね?』

再確認された。

え、好きだけど。

え、私好きだよね?

え、え、え、え、え、え、え?

返事に困っていたら、あっちから話してくれた

『好きって感情と勘違いしてる事ない?本当に心から好きって言える?』

言えるよ。

なんで、そんな事言うの。

好きだよ。

さっき言ったじゃん。

私、佐藤が好きだよ。

『やっぱ勘違いなんだよ。佐藤君じゃなくてもいいじゃん?』

佐藤じゃなきゃ、だめなんだよ。

って言いたい。

言葉がでない。

代わりに涙があふれる。

何も話せないと判断して何も言わずに電話を切った。

怒ったかもしれない。

自分勝手で勘違い野郎で自意識過剰で嫌われたかもしれない。

でも、それでもいい。

私は佐藤が好きなのに。

ようやくこの気持ちを受け入れられたのに

それを否定しないで。

[明日、また学校でね]

と野々垣さんからメールが届いた。

返信はしないまま

お風呂に入って寝よう。

こんな話するんじゃなかった。

最悪だー、私。

うんこは私じゃないか。

もう佐藤は、私に向かって笑いかけてくれないのだろうか?

やだなぁ。

好きなのに。

好きなのに。

こんなに私大好きなのに。

佐藤が大好きなのに。
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