愛生
佐藤が大変痛い野郎になってしまって

さすがに可愛そうと思うので返す。

「やってない」

嘘だけど。

やったと言えば、見せてと言われるので

嘘をついておいた。

「加藤らしくないな」

加藤、ああ。私の名字か。

うむ、私は加藤だ。

下の名前は忘れた。

いや、覚えてるけど、忘れた事にした。

嫌いだから。

「忘れてたのよ」

次々に嘘が飛び出る。

「実は?」

うは、バレてら。

「見せないわよ」

先に言っておいた。

「見せて」

話を聞けってのうんこ。

「見せないって言ってるじゃないの」

うんこか、こいつ。

「どうしたら見せてくれる?」

うんこだ、こいつ。

「クラスが同じだったらいいわよ」

6クラスもあるし無理だ。

無理であってほしい。

去年も同じクラスでよく一緒にいたから離されているだろう。

離されていてほしい。

「俺の運最強だからね」

私の運だってなめんじゃないわよ、うんこ。

「一人で酔いしれていればいいじゃない」

学校に着くまでは、佐藤が独り言をずっと言っていた。

1年生の出迎えを校門でしている先生達に適当に挨拶をして

クラスの振り分けがしてある下駄箱に行く。

・・・・・・げんなりした。

「俺最強!俺最高!」

黙ってろ、うんこ。

「B組の・・・」12番か。

確認して彼を置いて教室に向かう。
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