愛生
うーん、いろいろ省きすぎたけど

誰も言及してこないので、いいのだろう、きっと。

女の子も自己紹介をして、名前が野々垣さんだと言う事がわかった。

下の名前は、この3秒間で忘れた。

どんな素敵な頭をしているのか、自分でも見てみたい。

私の脳みそは都合がよすぎる。

それが、私の良いところでもあり悪いところだ。

本人に下の名前なんだっけとか聞くのは失礼なので

佐藤に聞いて2年生欄の紙を埋める。

1年生だめだなぁ。誰一人知ってる人がいない。

しかも、もそもそ独り言のように自己紹介をするので

全く紙が埋まらない。

「・・・聞こえた?」

野々垣さんに聞くと、ううんと首を横に振る。

「ねえねえ、あの子の名前何?」

考えている暇などなく行動にでていた。

自分でも話しかけて吃驚である。

「えっ?」

泰斗も多分吃驚して聞き返してくる。

「あの子の名前。教えて」

同じような意味の言葉を繰り返す。

「ああ・・・」

わかってくれたようで、要望にこたえる。

それから、3回・・・4回程1年生の子の名前を教えてもらった。

ばっちり忘れた。

泰斗のフルネームは覚えた。

いや、覚えていた。

気持ち悪いな、記憶力。2年前の話なのに。

3回目の美化委員で毎回同じ先生の話で

そろそろ覚えそうな勢いだ。

眠い。

野々垣さんも私の背中に「ねむい」と書いて訴えてきた。

長々とした話が終わり、委員長が号令をかけて委員会が終わる。

ふと横を見ると、佐藤が阿呆面して寝ていた。

見ないようにしていたのだが。

置いていこうか。

もう、見なかった事にしようか。

「ん~。加藤~」

どんな夢、見てるんだろうか。

起して問いただしたい。
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